伊豆の温泉場で一番人気はどの地区だろうか。
伊豆といえば何といっても温泉だろう。
地図を見ると、伊豆半島の北から南まで温泉マークが鈴なりだ。
しかし、大量の湯が沸き出して温泉宿が林立するようなところもあれば、温泉宿が1軒だけぽつんと建っているようなところもある。
地図では、どちらも温泉マーク1つだ。何か良い評価法はないものか。
ここに、総務省の決算カードというものがある。
この中に「入湯税」という項目がある。
早い話が、温泉に入ると税金がかかるのだ。
ここから、市町村単位ではあるものの、各地の温泉がどのくらい利用されているのかがわかる。
そこで、伊豆半島の市町村の入湯税収入を降順で並べた。
その上で、半島外の、日本を代表するような温泉を抱える市町村と比較してみた。
入湯税の標準税率は1人1日当たり150円だから、1人150円を支払ったと仮定して入湯税収入を150円で割れば、おおよその入湯者数を推定できる。それを表の右端に付した。
こう見ると、熱海市、伊東市は、日本を代表する温泉どころと言って恥ずかしくないだろう。
箱根町にこそ及ばないものの、伊香保、草津、有馬、別府といった、名だたる温泉場を抑えて、全国でも上位を占める。
と同時に、伊豆地区の中でも両市が抜きんでた存在であることがわかる。
あくまで推測だが、これには交通アクセスが関係しているのではないだろうか。熱海、伊東は東京からJR1本でアクセスできる。
両市に続くのは伊豆市、東伊豆町、伊豆の国市、下田市。これらも鉄道でアクセスできるが、JRだけでは到達できず、運賃も高くなる。
もちろん、自家用車や観光バスも来るだろうが、大きな輸送能力を持つ鉄道の威力は無視できないことがこの表からわかる。
なお、入湯税収入が無い三島市、清水町は、温泉こそ出ないかもしれないが、域内各地に大量のわき水が吹き出している。
さて、伊豆といえば、東日本大震災の際に大きく客足が遠のいたことがニュースになった。
そのことを、入湯税収入の変化から裏付けることはできるだろうか。
すべての市町で、というわけではないが、全体的に客足は落ち込んでいるように見える。
何より震災の影を感じさせるのは、伊豆のみならず、関東の各地では軒並み客足が遠のいているのに対して、西日本はあまり影響を受けていないように見えることだ。
今更ながらに天災の爪痕の深さを思い知らされる。
最後に。2010~2011年と比較すると、2017年の函南町の入湯税収入が大きいことがわかる。その原因が何かはわからないが、興味を惹かれる。