ついにイニエスタが来た。
FCバルセロナでリーグ15年389試合、その間リーグ優勝9回、UEFAチャンピオンズリーグ優勝4回。
代表では122試合、EURO2008、2010W杯、EURO2012で3連覇したスペインの心臓、あのAndrés Iniesta Lujánだ。
メッシやCR7ほどの知名度はないかもしれないが、当代最高の選手だ。
野球でいえば、ミゲル・カブレラやバーランダーが来てしまったようなものだろうか。
Jリーグではヴィッセル神戸に加入する。
とかく話題になるクラブだ。
金持ちの個人に買われて羽振りが良いクラブ。
がんばって補強するがいまいち成果を伴わないクラブ。
個人の趣味で勝手にクラブカラーを変えてしまい、古参のファンの不興を買っているとも聞く。
しかし、一サッカーファンとしては、神戸のオーナー、三木谷浩史氏は、夢のような存在ではなかろうか。
事業で成功し、Jリーグとプロ野球のチームを買う。
そして自分のチームにスター選手を集めて、リーグを制覇するのだ。
ヴィッセル神戸はまだ制覇していないが、楽天イーグルスは田中将大投手の大活躍で見事に優勝した。
神戸にはぜひ強くなって欲しい。そしてリーグも、ACLも優勝してほしい。
単に客寄せのためにイニエスタと契約したわけではないことはわかる。
というのは、ヴィッセルが契約したのはイニエスタだけではない。
昨年から、もう一人のスーパースター、ドイツ代表で130試合に出場したポドルスキーがプレイしている。
いうまでもなく2014年W杯の優勝メンバーだ。
日本代表では長谷部で108試合、長友が103試合だ。
W杯優勝国で100試合以上に出場したイニエスタやポドルスキーの威力は計り知れない。
金の力で…と考える向きもあろう。
しかし、世界のトレンドがそれである以上、その中で戦って勝ち抜くにはどうすればよいか、それを考える上で神戸のチャレンジ、そして将来の成功は、絶対に必要なのだ。
イニエスタに投じる金額はスポーツの成績と収益面の両方で回収できねばならない。
もちろんイニエスタも得をしなければならない。
日本に行けば実力が突出していること、興業面、他の選手に与える影響力、そうした諸々の面を評価すると、巷間噂される年俸32億という価値があると説得されただろう。
そしてイニエスタは、欧州に留まるよりも日本に行った方が、自分の存在がより大きな価値を生じると考えてサインしたはずだ。
いま経済の世界で日本は中国に抜かれて苦しい。
しかし、いくら「中国は信用なりません」「中国は危険です」と訴えたからといって、効果があるとは思えない。
たとえ危険が事実だとしても、だ。
もし日本が中国に競り勝とうとするならば、こう言わねばならない。
「日本と契約した方が、中国と契約するよりももうかりますよ」
そういう考え方は、過疎に悩む地方・地域が勝ち抜いて生き残っていく上でも、必要なのではないだろうか。