日本では、夜行列車はほぼ無くなったといっていい。

社会的使命を終えたようだ。

しかし、夜行バスは依然としてそこそこの数が運行されているし、わりと便利だ。

鉄道の長所を活かした夜行列車のあり方はありえないのか、考えてみよう。




いきなり結論めいたことになって恐縮だが、バスと比較した鉄道の長所は運転手を節約できることにある。

しかし、長い編成を連ねて長距離列車を運行しても、それだけの需要がないのも事実。

そこで、このように行き先別の多層建て列車を仕立てたらどうだろう。

たとえば、大阪から小倉までは11輌編成で運転し、そこで解結して、各々目的地に向かえばどうだろうか。

この場合の肝は2点だ。

(1)小倉までは自走せず、動力を切って機関車の牽引で運転する。

これにより、たとえば電車と気動車や、電化方式が違う車輌の連結も可能になる。

熊本行きの電車と、日田行きの気動車を連結しても問題ないのだ。

(2)JRの列車としては運行せず、別会社による運行する。

委託でも良いし、子会社を設立してもよい。

これにより、JRと別建ての運賃を設定することができる。

JRより高い、安いの問題もあるが、それ以上に、このようにしないと「列車の座席の販売」が可能にならない。

現在の特急列車などでは、前後もJRを利用することがありえるので、乗車券と特急券を別建てにせざるを得ないし、そうすると特急券だけ購入して旅行をあきらめた場合、払い戻しがなされないと、座席が抑えられたまま乗車券代を取りはぐれる。

それでは困るから、「その列車の座席」を販売するのだ。たとえば「大阪から熊本まで運転する列車の1座席」を購入してもらい、大阪までと熊本から先の切符は別に手配してもらうようにする。

イメージとしては、それこそバスとか飛行機のような具合だ。

そのためには、JRとは別会社による運転である必要があるのだ。

この方式は、いろいろ応用が利く。たとえば

このように、同じ東京に行くのでも、行き先別になっていると便利だ。(便利か??)

なお、JRの線路をJRと別会社が、「自社の列車として」運転することは、現行の制度のもとで可能だ。

たとえばJR貨物はJR各社の線路を「自社の列車を」運行しているのであって、私鉄が地下鉄に乗り入れるような「乗り入れ後は乗り入れ先の列車に変わる」というわけではない。

同様に、制度上は私鉄の線路上も「自社の列車として」運転することができるので、上記の例のようにそのまま小田急線に乗り入れても何らおかしいことはない。

とはいえ、JR各社としても、自社の線路をむやみに安い列車が走って収益機会を損失するようなことになっては株主に説明できないだろう。

この辺は、公設民営の上下分離方式と比較した場合の現行の制度の欠点といえる。このような比較的距離の短い列車にもメリットがある。乗り換えてもらえば良いのだろうが、距離が短い場合には早朝の乗り換えを強いられる場合もあり、目的地まで行ってくれると便利だ。

あるいは

定番だが、列車が頻繁に走っていて線路に余裕がない場合、このように列車がまとまってくれると便利だ。

これでもうかるようになるのかどうかはわからないが、現状で無理ならこんな方法もありえるということだ。

 

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