多くの人はだんごむしを知っているだろう。
それはごくありふれた虫であって、振り向けばそこにいるような存在だ。と思っていた。
ところが、奥日光の森林でだんごむしを探してみたところ、いくら探してみてもいないのだ。
ワラジムシはいた。よく似た仲間だが、丸くはならず、動きもかなりすばしっこい。
だがだんごむしはいない。
ちょうど奥日光では頻繁に熊が目撃されていた時期でもあったし、また広大な奥日光をくまなく探したわけでもないが、少なくとも建物のまわりの、いかにもといった場所に、1匹のだんごむしも見つけることはできなかった。
寒いからだろうか。
しかし、北海道にもだんごむしはいるらしい。
いくら寒いとはいえ、奥日光の冬は、少なくとも中禅寺湖畔では零下20度まで下がったことはないようだ。
調べてみると、まずだんごむしは明治時代に来日した外来生物だということだ。
そして、同じ等脚類(ワラジムシ目:ワラジムシ、フナムシ、グソクムシなどを含む)の中では比較的乾燥に強いらしい。
そういったことから、だんごむしは人間活動の盛んな、コンクリートやアスファルトに覆われた都市部に集中的に進出しているらしい。
逆に、人里離れた山奥にはいないようだ。
日本への侵入から日が浅いことからまだ進出していないのか、それとも湿潤な環境でワラジムシとの競争に勝てないのか。
(だんごむしがいそうな落ち葉だまり)
ここに「栃木県自然環境基礎調査:とちぎの土壌動物」なる本がある。
アマゾンでは売っていなかったので、栃木県立図書館(宇都宮市)で閲覧してみた。
それによれば、栃木県では以下の地点で採取が報告されている。
・氏家町、宇都宮市、河内町、芳賀町、二宮町、西方町、佐野市、藤岡町、野木町、小山市。
ほかに、ネット検索では、小山市の幼稚園と那須塩原市の小学校で採取例が報告されていた。
こうした情報をもとに調べた結果、日光市でも今市地区ではだんごむしが生息していることがわかった。
なんだかほっとした。
外来種なのに。
ちなみに、だんごむし(オカダンゴムシ)の学名は「Armadillidium vulgare」というらしい。
Armadillidiumというのは、きっとアルマジロArmadillo にちなむ名前だろう。
敵に襲われたときに丸まって身を守るところから。。。