プロ野球の世界では「名球会」という存在が知られる。

ざっくりいえば、投手なら「200勝」、打者なら「2000安打」を達成した人を会員とする団体だ。

あくまで私的団体だが、基準が明確なこともあり、数字を達成することが大きなステイタスとなっている。




しかし、野球が進化するにつれて、この基準が物議を醸すようになっている。

投手では、分業制の定着(先発と救援)と、先発ローテーション制の定着による先発機会の減少により、200勝を達成することがきわめて困難になっている。

とくに救援投手にとって200勝は絶望的である。ただ、救援投手に対しては「250セーブ」という新基準が加わったことにより、再度道が開かれた。

とはいえ、200勝というのはたいへん困難な数字である。21世紀に入ってから200勝を達成したのは工藤公康と山本昌の2人しかいない。

工藤は1982年に初登板、山本は1984年度の入団だから、平成以降に入団して200勝を達成できた投手は一人もいないことになる。

それだけ難しいし、またそれだけの実力がある投手はMLBに渡ってしまうということも背景にある。

だが日米通算で200勝を達成できたのも野茂英雄と黒田博樹の2人だけだ。

さて、よく考えてみると、「200勝」という基準がおかしいのではないか。

打者の基準は「安打数」だ。これは要するに、1打席の勝負であって、試合に勝ったの負けたのは関係ない。

打率が高い低いも関係ない。

しかるに投手における「勝利数」はそうではない。

いくら打者を抑えても打線が貧弱なチームでは勝利数は伸びない。

救援投手陣が貧弱なチームでも、やはり勝利数は伸びない。

打者における「安打数」に対応するのはアウトを取った数、すなわち「投球回数」でなくてはおかしいのではないだろうか。

これまでに打者で2000安打を達成した選手は51人いるが、投球回数2500を達成した投手は46人存在する。

人数的にはだいたい釣り合っている。

そのリストを下に掲げよう。◎は、21世紀に入ってから達成した選手だ。

ついでなので、2500投球回には満たなかったが上位50位には入っている4投手の名前も掲載した。

網掛けは200勝達成者だ。ちなみに200勝を達成した選手は全て2500投球回を達成している。

とはいえ、21世紀における救済者は三浦大輔、桑田真澄、星野伸之、石川雅規、西口文也の5人に過ぎず、これでも2000安打との均衡を失していることは否定しがたい。

そうではあるが、少なくとも「勝利数」よりは、基準として「安打数」と整合するものであると、よっくすは信じるしだいである。

 

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