少しでも鉄道に興味がある方はご存じであろう。

東北新幹線の東京-大宮間の問題である。




ミニ新幹線とは、新在直通運転、すなわち新幹線と在来線を直通運転できるようにしたシステムである。

現在のところ、福島-山形-新庄間と、盛岡-大曲-秋田の2区間で採用されている。

ミニ新幹線は、新幹線が直通する区間はあくまで在来線であり、最高速度は130km/hに制限されている。

このような、速度制限が在来線並みの新幹線が東京近郊にも存在する。

それが東京ー大宮間だ。

この区間は最高速度が110km/hに制限されているので、30km余を25分もかけて走っている。

速度だけ見ればミニ新幹線といって差し支えないレベルなのだ。

もとより、大都市近郊では用地買収に大きな困難が伴うので、直線的な線路を建設することが難しく、速度は低下しがちである。

加えて東北新幹線の場合には、その建設にあたっての大宮、浦和その他周辺の市民の猛烈な反対運動の結果こうなっている。

沿線住民の生活は無視できないのでやむを得ないことではあるが、結果として栃木、福島、宮城、山形、岩手、秋田、青森、北海道、群馬、新潟、長野、富山、石川の1道12県の住民が被害を蒙ることになってしまった。

あちらを立てればこちらが立たず、である。

加えて、この区間には、東北、上越、北陸の各新幹線が集中するので列車密度が高く、各新幹線のこれ以上の増発が困難な状況になっている。

このため、2階建ての新幹線とか、17輌編成の長大な新幹線などがよく走っていて、苦労のほどがうかがえる。


(代表的なミニ新幹線対応車両。宇都宮駅にて)

さてしかし、その有効な解決策が無いのも現実である。

本来、上越新幹線は大宮から新宿へ伸びてそこが終点になるはずであったが、それが実現する見通しは立っていない。

東北・上越新幹線ですらそれだけ難航したのだ。今の世でもう1本など、もう無理だろう。

たとえば、大宮を迂回して岩槻、東川口から日暮里・舎人ライナーの地下を通って東京に進入してはどうかなどとも思うが、近未来に実現する可能性は無い。

もし実現するなら、今度こそ新幹線のメリットを活かせる高速運転が可能な規格で建設してほしい。

新幹線の建設が当面の問題の役に立たないので、結果として大宮から東京周辺まで、新幹線に乗っても時間的に速くならない。

だから、乗客の一部が在来線にシフトしてくれれば、大宮始発の新幹線を設定することによって、少なくとも線路容量の問題は解決するわけである。

時折、八王子や千葉などから、武蔵野線経由で大宮まで、新幹線アクセス列車を設定してはどうかという議論を見かけることがある。

しかしよっくすは、その方法はあまり有効でないと思う。

なぜならば、新幹線の乗客の一定数は、地方から東京へのビジネス客だからだ。

また、北関東からの新幹線通勤者もかなりの数がいる。

彼らにとって目指す先はオフィス街や官庁街であって、ベッドタウンに用は無い。

もちろん首都圏の住民がビジネスや観光で新幹線を利用する際には、八王子や千葉からの列車は便利だろうが、その割合は期待ほどは大きくないというのがよっくすの診立てである。

乗客のかなりの部分が山手線を目指すとすると、そこはやはり新幹線に乗って東京に行きたい気持ちになるだろう。

いくら所要時間が変わらないからといって、大宮からわざわざ上野東京ラインの満員電車に揺られたくはないと思う。

だから、新幹線のチケットを持っている人は、大宮からのグリーン券に引き替えられるようにすれば良いのではないだろうか。

上野東京ラインは新橋、品川やその先は川崎・横浜まで通じている。

新幹線で東京まで行って、満員電車で新橋へ行くか、大宮でグリーン車に乗り換えて新橋に行くか。

所要時間が変わらないのであれば、それは十分に検討の余地があるのではないだろうか。

またこうした策を講じるのであれば、埼京線にもぜひグリーン車を連結してほしいものだと思う。

池袋、新宿、渋谷にはそれなりの需要があるし、湘南新宿ラインの本数ではそれに対応できないだろうからだ。

まあ、それよりもなによりも、東京への新幹線がもう1本できて、新幹線が新幹線らしい速度で東京まで走ってくれるようになるのが一番良いのだが。

 

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