新しくできた駅に東―、西―などと名付ける例は多いが、埼玉県さいたま市には「浦和」と付く駅が8つもあることで知られる。
北浦和、浦和、南浦和、中浦和、武蔵浦和、西浦和、東浦和、浦和美園。
知っていればなんてことはないだろうが、周辺の地理に不案内な者にとってはわかりにくいことこの上ない。
そこで今日は、これらの駅名の他の名前での代替を検討してみよう。
まず北浦和。
恭慶館は旧浦和市公会堂の愛称として渋沢栄一が命名したもので、現在は浦和北公園内で引き継がれている。
次に中浦和と武蔵浦和。
これらは、近辺にある別所沼、白幡沼の名を借りればいいだろう。
西浦和。
これは、周辺が田島という地区であるので、それでいい。
基本的に周辺住民のための駅であるし。
それから浦和美園。
埼玉スタジアムのための駅である。それとともに地元住民の需要の大きさももちろん見逃せないが、最も案内を必要としているのは、やはり埼玉スタジアムの利用客だ。
「西武球場前駅」のような例もあるのに、なぜそうしなかったのか、逆に理解に苦しむところだ。
しかし「埼玉スタジアム駅」では長すぎる。
終点であるために行先表示に掲載されることを考えると、なおさら短縮する必要がある。
ここは「埼スタ駅」でどうか。
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東浦和。
ここはかつて見沼代用水を潤した見沼溜井の八丁堤が近傍に存在する。
「見沼」としたいところだが、見沼区の区役所ははるか北方の東武野田線沿線に設置されいる。
だから八丁堤でどうか。
南武線・京急線の八丁畷駅と紛らわしいのが難点だ。
これで8か所中6か所が片付いた。
問題は残る2駅、南浦和駅と浦和駅だ。
南浦和駅の難しいところは、南浦和を終点とする列車が多数存在することだ。
南浦和の名前は列車の行先表示板に掲載され、したがって知名度の高い地名が望ましい。
といって、南浦和駅自体は車両基地の設置に伴って昭和36年に設置された比較的新しい駅であり、このことから歴史的な市街地の集積のようなものはないことがわかる。
周辺の地名を付けても、慣れるまではどこのことかよくわからない、ということになりかねないのだ。
このあたりの事情が東武伊勢崎線の南栗橋駅とよく似ている。
しかしこれには解決策がある。
浦和駅はかつて県庁所在地浦和市の中心駅で、宇都宮線・高崎線の列車も停車する。
8つの浦和駅の中でも随一の重鎮である。
(「スペーシア」も停車する現・浦和駅)
浦和駅の近傍には埼玉県庁やさいたま市役所が立地する。
そう、いまや市の名前は「さいたま市」であり、浦和や大宮は市の名称としては存在しない。
それであれば、市を代表する駅は「さいたま」を称するべきではなかろうか。
そして浦和駅こそ、立地から言っても格から言っても「さいたま駅」の名を冠するにふさわしい。
浦和駅は「さいたま駅」に改称すべきであろう。
こうして、「浦和」の駅名が空席となる。
南浦和駅は「浦和」と改称すればいい。
京浜東北線の「南浦和」ゆきは、「浦和」ゆきとなり、字数が減って見やすくなる。
こうして万事めでたく収まるというわけである。
まとめると、以下の通りとなる。
現在の駅名を再掲する。