北陸新幹線は現在、高崎~金沢間が開通しており、上越・東北新幹線に乗り入れて、東京~金沢間で直通運転を行っている。
専用の車両が大雨被害で水没し、衝撃を与えたのも記憶に新しいところである。
さて北陸新幹線は金沢から先、新大阪まで延伸されることが決まっていて、既に着工している。
しかし、金沢から敦賀までのルートは早くに決まっていたが、敦賀~大阪のルートは長らく未定であった。
やや古いニュースであるが、この未定であったルートが、小浜経由と決定した。
まず、現在の様子を概観してみよう。
まず東海道新幹線が既に開通しており、名古屋、京都などを経由している(実線)。
このほか、北陸新幹線が北から敦賀まで延伸する(実線)。ここまでは決まっていた。
敦賀から大阪方面へのアプローチは当面在来線経由となるが、これは京都から米原を経由するルートと、琵琶湖西岸の湖西線を経由するルートが存在する(いずれも点線)。
現在のところ、距離が短い湖西線経由がメインルートとなっている。
今回決まった小浜経由のルートは、だいたいこんな感じである。
イメージとしてはずいぶん大回りする印象であるが、見てわかる通り、実は米原経由と比較してそれほど距離が延びるわけではない。
それよりも問題は、現在のところ米原経由の在来線特急で直接結ばれている名古屋~北陸の移動はどうなるのか、ということだ。
おそらくこれが、多くの人がイメージしていた解決策ではないかと思われる。
将来、リニア(緑線)が開通して東海道新幹線の線路容量に余裕が生まれる。
だから、赤線のように米原付近で二股に分かれる新線を建設すれば、余裕のできた東海道新幹線の線路容量を有効活用できるし、関西圏、中京圏の両方から北陸への交通が確保できるし、何より建設すべき距離も短く、工費は小浜経由よりも大幅に節約できるはずである。
ただしこの構想は、北陸新幹線より先にリニア新幹線が開通してこそ成立する計画である。
実際には、wikipediaによれば、北陸新幹線の全線開業は2046年度、リニア中央新幹線の大阪延伸は2037年度が予定されている。
計画の上では成立するが、この辺の予定はかなりずれが生じるので予断を許さない。
特に、新技術であるリニアの遅れは想定され、北陸新幹線が先に開通してしまえば、北陸新幹線の大阪直通はできなくなる。
その場合は、現在は在来線経由で流れている北陸~大阪の旅客が「こだま号」に移行して東海道新幹線がパンクするかもしれない。
また米原経由の場合は、米原を境に運営会社が変わる(JR西日本と東海)のも、何かと不都合である。
分割による運営会社側の勝手な都合といってしまえばそれまでだが、当事者である会社にとってはそうも言っていられない。
リニア全通の暁には、JR東海がJR西日本に名古屋~新大阪を譲渡もしくは売却してくれればいいが、そうもいかないだろう。
そうではあるのだが、出来上がりの路線網が最もすっきりする米原経由を捨てるのは実に惜しい。
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しかしすでに決まったのだ。
改めて地図を眺めてみれば、リニアの運営に失敗するリスクも織り込むことができる小浜経由は、意外に良いのかもしれない。
そして、その前提で、名古屋~北陸の旅客をどうさばくべきかを考える必要がある。
単純に時間だけを考えれば、京都で乗り換えてもらえば、現在の在来線直通列車よりもかなり速くなるはずだ。
しかし、これでは無駄に距離が延びてしまい、運賃・料金も必要以上に高額になってしまう。
たとえば敦賀で同一ホームで乗り換える在来線連絡特急を走らせるとか、敦賀~米原のミニ新幹線を建設して名古屋~金沢の直通列車を走らせるとか、なんとか良い知恵をしぼってほしいものである。