新型コロナウィルス感染症が流行し、リモート業務、オンライン業務が推奨されている。
そこで今日は、貨物輸送の無人化について考えたい。
貨物輸送といっても、本稿では物流の主力である企業間の輸送ではなく、宅配便やコンビニのサプライチェーンのようなものをイメージしている。
たとえば鹿児島県から栃木県に荷物を輸送するとする。
鹿児島県のどこから発送しても、荷物はまず県内の集配所(図では加治木)に送られる。
加治木で東京ゆきの便に乗せられ、東京で宇都宮行きの便に積み替えられる。
宇都宮で栃木県内各地の営業所に送られて、そこから送り先に配達される。
大まかに言ってこんなシステムになっているはずだ。
たとえば志布志から荷物を発送するとして、志布志→加治木の便には、志布志から県外に輸送される全ての荷物が載っている。
加治木から東京の便には、鹿児島県内から東日本に輸送される全ての荷物が載っており、一方東京から宇都宮の便には、西日本各地から栃木県への荷物が全て載っている。
くどくどと書いたが、要するに志布志から日光へ送られる便は滅多に無いとしても、各区間の便はそれなりに荷物が載る仕組みになっている。
出発地も到着地も決まっていて、確実に1日1便以上は運航しているのである。
これを無人化できずに、何を無人化できるのだろうか。
現在のところでは、長距離であれば船舶や鉄道の利用で運転手の数を節約することは可能であるが、運航技術に関する有資格者の数が少ないために、今回のような感染症に対してはより脆弱になることになる。
何らかの無人輸送システムを開発・導入する必要があるのではないか。
そうなれば、運転手の勤務時間や昼休み、有給休暇を考慮する必要もなくなるし、運転手が風邪をひいた場合の心配もしなくてよくなる。
さて、無人輸送システムを実現するためにはどのような問題があるのだろうか。
専門家ではないのでよくわからないが、まずどのくらい貨物が流れるのかを考えよう。
1両にコンテナが5個積載できる貨物客車があるとしすると、20両編成で100個のコンテナを運ぶことができる。
10分に1本の貨物列車が運行されるとすると、1時間当たり600個のコンテナが輸送されることになる。
これをコンテナ1個ずつを輸送するシステムにするとなると、1分あたり10個、6秒に1個のコンテナを裁かなくてはならない。
これは結構な数だ。
まず動力は(トラックのように)コンテナ側に乗せるのか、それとも(ピザ焼き機のように)軌道側に装備するのか。
あるいは転轍機はどうするか。
大阪から東京へ運ばれてきたコンテナは、しかるべき荷捌き所に到着しなくてはならない。
そのためには、分岐点を設けて、行先毎に仕分けられる必要がある。
その分岐点をどのように通過するのか、という問題だ。
コンテナはそれなりに大きいし、精密機械や生鮮食品が載っている場合もあるから、急停止して向きを急転換するようなことをすれば、中身が壊れてしまうかもしれない。
停止に関しては、トラック程度の制動能力ならば大丈夫かもしれないから、あるいは壁とコンテナとの間に磁力を作用させて停める、というようなことになるかもしれない。
それでも、コンテナほどの大きなものを、数秒で正確に分岐を通過させるのはけっこう難しいことのように思う。
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そうした障害はあるかもしれないが、貨物の無人輸送はなんとか実現してほしいものである。