プロ野球においてエースとは何か。
西鉄のエース稲尾。巨人のエース江川。
どちらかといえば印象で語られることが多い「エース」の称号だが、何か客観的に定義する指標はないだろうか。
投球回数を目安にエースを探る。
続いて1980年代。
ONは去った。
広岡監督の管理野球が一世風靡し、野球は管理も戦術もシステマティックになった。
ランナーが出れば判で押したようにバント。
そういう戦術の効果が個々に精密に検証されたわけではないと思うが、一世代前よりは強くなっていたと思う。
セリーグで2強を形成した広島と読売は、それぞれ北別府と江川というエースを擁したが、それに続く投手がエースの働きをした年も少なくない。
ローテーション制が定着する中、2番手以下にも実力のある投手が揃っていたのだ。
対して低迷した大洋、ヤクルトでは遠藤、尾花への依存が大きかった。
大洋では遠藤に次ぐ存在の斉藤が救援を中心に活躍したこともあるだろう。
またそれぞれ平松、松岡という前代のエースが衰えながらも200勝を目前にしていたという状況もあるかもしれない。
阪神は外国人頼みというのが気になるところ。
中日の小松は意外に投げていない。むしろ郭がエースの働き。
パリーグでは1人のエースに依存したチームは無い。
南海は紛らわしいが、よく見ると山内姓の3人の投手が代わる代わる登場する。
阪急は最も理想的だろう。複数の投手が繰り返し登場していて、切磋琢磨している様子がわかる。
これに対して日本ハムは、西崎の登場以前は毎年違う投手がエースの働きをしていて、しかも2回登場する投手がいない。
使いつぶしている印象だ。近鉄も、大エース鈴木が最後の輝きを放っているとはいえ、似たような印象を受ける。
西武は東尾から渡辺久信への世代交代が見て取れる。
システマティックな運用が定着し、複数の有力な投手が長い期間にわたって切磋琢磨するのが、この時代の強いチームだったといえるだろう。
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