来年、宇都宮市では新しくLRTが開業する。
賛否はあるようだが、完成したら乗ってみたいものだとよっくすは考えている。
しかし、路面電車という形が良いのだろうか、今の時代にはもっと良い方法があったのではないかという気持ちはある。
それはなぜかというと、路面電車という形式が自動運転と相性が悪いように感じるからだ。
自動運転のためには、専用軌道のほうがより簡素なシステムでできるので、適しているのではないか。
思うに、専用軌道という形式は都心部でこそ威力を発揮する。
渋滞を回避できるし、またその投資に見合っただけの列車密度も期待できる。
しかし、専用軌道は路面電車より乗降が大変だし、建設費も高くなる。
そう考えると専用軌道だから何もかもが良いとも言えない。
そこで、こうしたらどうだろう。
まず、この交通は専用軌道で建設するものとする。
しかし、駅は両端に2つだけ設ける。
車両は1編成だけ、これがひたすら2駅間を行ったり来たりする。
こうすることにより、線路は単線で十分であり、転轍機の切り替えも必要ではなくなる。
もちろん回送用の線路はあってもいいわけだが。
運行パターンも極めて単純となり、いわばエレベーターみたいなものだから、ボタンを押したら数分以内にやって来るという形での運用もできるだろう。
こうすることにより、容易に自動運転が可能になる。
自動運転になれば運転手に休憩を与える必要もないし、運転手の休暇を見越して余計に雇用しておく必要もなくなる。
24時間営業も可能だし、客のいない時間帯だけ休ませることも可能になる。
そのうえ、どんな閑散区間でも、乗りたいときに列車が来るというわけだ。
料金の支払いはSuica専用とし、市民はマイナンバーとSuicaを紐付けることで、全額補助、すなわち実質的に無料で乗ることも技術的には可能だろう。
このような2駅間のピストン輸送をいくつもつなげ、駅では同一平面で別の路線に乗り換えられるようにすれば、便利な交通システムをかなり安く建設することが可能になるのではないか。
逆に、ある程度の距離を移動するのは何回も乗り換えを強いられて不便となる。
しかし、要は混雑する都心部だけ何とかなればいいのだ。
よほどの大都市でもなければ、数キロも移動すれば都心部を抜けてしまう。
そこまででとりあえずの必要を満たしているともいえるし、また都心部を抜けた地点で駐車場やバスターミナルを設けて、別のモードとの接続を図ってもよい。
日本を代表する2つの都市、鹿児島と宇都宮で具体的に考えてみよう。
まずは鹿児島。
点線は既設の鉄道だ。
鹿児島には既に路面電車があるので、これを幹線とし、それに接続する形で鹿児島中央駅、あるいは天文館に達することができるように考える。
離島や大隅半島からの船便は桜島フェリーターミナル、北ふ頭、南ふ頭、新港埠頭、鴨池港の5ヶ所に分かれて到着する。この5港と県庁から路面電車に接続する形だ。
この図では、鴨池港から2回の乗り換えで路面電車を利用して鹿児島中央駅、あるいは天文館に達することができる。
次に宇都宮だ。
ここでも点線は既設の鉄道を示す。
宇都宮にも路面電車が開業予定である。西口にも路面電車が開業するのは相当に先のことになるが、いちおうこれを織り込んで考える。
宇都宮の市街地は鹿児島よりまとまりが無い。
概ね宇都宮駅、東武宇都宮駅の両駅付近を軸とするが、特に発展著しい宇都宮駅東口では少数の鉄道線で市街地を広くカバーすることは難しく、この方式が威力を発揮する。
どうだろうか。
今あるシステムを高度化していくのもよいが、自動運転という目標に適したシステムを考えてみてもよいのではないだろうか。