ロシアがウクライナに侵攻した。
ロシアはどうしてしまったのか。
今回のウクライナ侵入の作戦の目的は、ウクライナへの傀儡政権の樹立だろう。
だがそれは、ロシアにとって、どのような世界戦略に基づいた手順なのだろうか。
もちろん、ウクライナは食糧生産という点でも、石炭をはじめとする資源の生産という点でもメリットはある。
また安全保障という点でも、ウクライナが西側に靡いてNATOの基地でもできれば、ロシアにとって北のアメリカ、西の西欧に続いて、南方にも敵を抱えることになるし、それは至近距離でもあって、由々しき問題であるのだろう。
だが南にはすでにNATOに加盟しているトルコがあるのだ。
ウクライナ死守のためだとしても、戦争に打って出てしまえば、むしろデメリットのほうが大きいのではないか。
そもそもロシアの国力はまだ米中に遠く及ばず、戦争に国運を賭すには時期尚早のように思える。
核兵器もあるが、核を撃ち合って廃墟となった世界で覇権を握るような世界戦略を描いているのだろうか。
しかし、ロシアの幸福、ロシア国民の幸福を考えれば、自国も廃墟となってしまうような全面核戦争に打って出るよりは、米国に屈してでも平和裏に経済成長を図ったほうがはるかにましではないかと思うのだが。
ロシアの背後には中国がおり、中露は一蓮托生との見方もある。
しかしこれも疑問だ。
プーチン大統領が、世界を廃墟にしかねないようなロマンに国運を賭すような人物であるならば、むしろ中国と同調して同じヨーロッパ人である西欧諸国を滅ぼすような計画は逡巡するのではないだろうか。
もう少し現実的に考えているはずだ。
考えれば考えるほど、プーチン大統領の意図がわからない。
今のよっくすの状態を、下手の考え休むに似たりというわけだ。
さて、今回の一連のニュースを見て思ったことがある。
それは独裁国家では、独裁者1人が首根っこをつかまれると、たちどころにゾンビ国家に陥ってしまうのではないか、ということだ。
親族を盾に脅すにしても、金品で買収するにしても、民主国家で国民世論の誘導に苦心するよりも、はるかにたやすく、低コストではないだろうか。
独裁国家というのは、判断の速さや政策の継続性という点で優れている反面、そのような危うさを抱えているように思えてきた。
今回の戦争とは関係がないし、疑いを呈する気持ちもないが、一連のニュースを見てまず率直に感じたのは、そういうことだった。
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どのような事情があろうと、ロシアのウクライナへの侵入が正当だと認められることはないだろう。
ロシアにとってのメリットは、よっくすにはよくわからない。
いっぽうで、巷間言われる、中国のメリットというものがある。
つまり、ロシアのウクライナ侵入を、自国が考える台湾侵入のテストケースとみているという説だ。
だが、経済規模の小さいロシアへの対応と、超大国である中国への対応が異なることは明らかだ。
ロシアへの対応として米欧が戦争に打って出ない理由として、中国の脅威を背にして消耗するのが得策ではないという事情があるはずであるが、中国の侵入に対してはそのような問題を顧慮する必要はないのだ。
仮に米欧がウクライナに軍事援助をしなかったとしても、台湾にもしないとは断定できないのではないか。
それでもなお、これも1つのテストケースにはなるだろうし、中国にとって米欧の実力を測るうえでは恰好の事件とはいえるだろう。
逆にロシアが賭けに負けて瓦解した場合、この場合は中国にとって明確なメリットがある。
中露国境を有利に引き直すチャンスが訪れるかもしれないわけだから。
少なくとも中国にとっては、ロシアが勝っても負けても都合の良い展開が待っているだろう。
偶然かもしれないが、今回のロシアのウクライナ侵入において、中国は非常に都合のいい立場に立っているように見える。
日本はどうすればよいのだろうか。
いざという時のために、米国と同盟を結んでいるが、それで十分だろうか。
しかし、ヨーロッパの国と同盟を結ぶということは、先方の危機にあたって出兵する気があるのかということだ。
そしてわれわれ一国民は何をすればいいのだろうか。