世に知られた源平合戦のお話は、主として吾妻鑑なる書物に拠っていると思われる。
そのほかにも平家物語、源平盛衰記、曽我物語、玉葉等々、あまたの種本があるはずだが、不学なよっくすは1つも読んだことがない。
そこで、受験勉強のために身に着けた通り一遍の知識だけをもとに大それた世界観を語ろうとしている。
さて、源平合戦というものは要するに源頼朝の出世譚であり、伊豆編、関東編、全国編と次々と大きな世界に舞台を移して戦いを展開していく。
このあたりの世界観は、ドラゴンボールとかキン肉マン、キャプテン翼といった格闘もの(?)の漫画に似ている。ふ、古い…
伊豆編はさしずめ天下一武闘会、超人オリンピック、修哲小学校との対抗戦といったところだ。
最初に槍玉に挙げられる山木兼隆は、スーパーマリオで言えばクリボー、スパルタンXでいえばつかみ男といったところか。
続いて志田義広や佐竹秀義と戦う関東編は、サイヤ人の襲来、悪魔超人との対戦、全国サッカー大会といったところだ。
そして木曽義仲や平宗盛と争う全国編。
藤原泰衡の征伐もここに位置付けられよう。
これはフリーザ一味との闘いや、キン肉星王位継承戦、サッカー全国大会中学編といったところだ。
後鳥羽上皇を倒してこの物語は完結するわけだが、これは大魔王クッパみたいなものか。
このような一致(?)は、おそらく偶然ではない。
底本である吾妻鏡が、そのような世界観で描かれているのではないかと思う。
作り話とまでは言わない。
事実をもとにしたフィクションというのが正確なところではないか。
吾妻鑑はあくまで事実を羅列した歴史書という体裁だそうだが、執筆は鎌倉時代後期ということだから、幕府首脳に言い伝えられた「物語」が歴史書化されたものだろう。
当時は歴史と文学の区別もいまほど厳密ではなかっただろうし。
だからこそ、腹にすっと落ちやすい形で物語が展開するわけだし、逆にそれを踏まえて事実を推理していくことを、歴史学者たちがなさっておいでではないかと想像している。
我々一般市民が必ずしも真実を追求する必要はないし、書物もドラマもそのような世界観を踏まえて楽しむのも面白いと思う。
むしろ、外敵と戦うだけでなく、内部の抗争が相伴うのも、漫画よりおもしろいところだ。
ピッコロ大魔王やサイヤ人と戦う傍ら、クリリンが孫悟空やヤムチャを倒して天下を握るようなものだ。
悟空やヤムチャも油断は無いだろうし、性急に始末すれば味方の戦力が落ちてサイヤ人に負けてしまうかもしれない。
そういう駆け引きや情勢判断の難しさが呼ぶ物語の起伏も、また物語に興を添えるところだ。
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さて、フリーザを倒したのちも悟空の前には人造人間だの魔人ブウだの、犯則級の敵が現れてくるが、現実世界でも元寇というとんでもない国難を迎える。
一般にはモンゴルの侵入と考えられているし、実際に首脳陣の中心はモンゴル人であったろうが、モンゴル人は日本人より圧倒的に人口が少なかったはずだ。
平原での騎馬戦ならともかく、極東で最も操船技術に長けていたと考えられる日本に、モンゴルが単独で海戦を挑んで勝てるはずがない。
当時のモンゴル国家、すなわち元は、中国の正統王朝の1つに位置付けられており、元寇は中国の正式な王朝による日本への攻撃である。
そしてこれには海戦部隊を擁する朝鮮半島の高麗が加担していた。
要するに、元寇とは中国と朝鮮の連合軍による日本への侵略戦争である。
当時の中国と日本の実力には、現代とは比較にならないほど差があった。
いまの日本が中国・韓国の連合軍に攻め込まれて勝てるか。
われわれの先祖それよりはるかに難しいタスクを成し遂げたのだ。
どのような備えがあってそれに成功したのか、よく考える必要はあろう。