すでに述べたように、都会では列車の中には多くの広告が下がっており、重要な収入源になるとともに乗客にとっても格好の暇つぶしとなっている。

しかし、地方においてはたいした広告も出ないのが常である。

結果として、空漠たる空き枠のなかに、鉄道会社のツアーの広告がポツンと下がっていたりする。




さて、地方でも鉄道の乗客は、ビジネス/行楽と遠距離/近距離の2軸によって4分できるが、いずれにしても昔と異なるのは、ほとんどの人がスマートホンを手にしていることである。

そして、特に長距離の場合に問題になるのが充電だ。

新幹線などではコンセントが利用できる場合もあり、よっくすもたいへん重宝している。

しかし思うのは、電気を作るのにもコストを要することである。

100円で何分、といった具合に、有償で提供したほうがよいのではないだろうか。

列車、なかでも電車の場合は、架線から集電しているというメカニズムの恩恵があるので、電気の供給は飛行機やバスよりもかなり有利だ。

コンセントがあればPCも利用できる。クロスシートに机を備えた座席が有償で提供されていれば、一定の需要はあると思う。

できればインターネットへの接続も時間従量的に課金されるようになれば良いのだが。

さて以上は主としてインフラに関する問題であった。ネット環境が整備されれば、ほとんどの人はスマートホンやPCで問題を解決するだろうが、車内の展示物(たとえば広告)に関しても、一定の需要は残っている。

これについても、掲載にもコストがかかるから有償で広告を集められれば良いのだが、地方だとそれも思うに任せない。

やはり乗客に対価を支払ってもらえればよいのだが。

有料の特急列車の場合には、特急料金を原資に一定のインテリアを整備することが可能だ。

たとえばモニターを設置して運転席からの眺めを放送したり、現在速度を表示したりするサービスは、よっくすは好きだ。

しかし、普通列車ともなると、そうはいかない。かけられるコストには限度がある。

率直に言って、たとえば観光客が大勢訪れるのに普通列車しか走っていないような路線に、味気ない通勤型列車が運用されているのは問題がある。

ハイシーズンには特別車両を連結するなどしてくれればよいが、それもコストの問題で思うに任せないというのなら、ここでも乗客の財布でなんとかしてもらうしかない。

QRコードで買い物ができるような、機内販売ならぬ車内(ネット)販売のメニューを壁一面に並べるか。

この点で列車は、自動車やバスと比較して空間が広く、車内の移動も容易だというメリットがある。特に通勤型車両の場合はそうだ。

飛行機も広いが、機内の移動には難がある。

もちろん、スマートホンを利用すれば多くのメニューを提供することは可能だが、やはりタップしないと次の画面に進めないシステムは、左から右へ一瞥できるパンフレット的でアナログなシステムと比べて、どうしても視認性に劣る。

基本的に列車は退屈だ。初めて乗る路線などでは車窓に期待して心躍ったりもするが、それで30分も1時間も間が持つものではない。

地方に行けば景色が素晴らしい場面もみられるが、そもそも通常の鉄道は貨客を運搬するために敷設されたのであり、本当に景色がよいかというと、それほどでもない場合も多い。

ひたすらトンネルが続くような場合には、インターネットへの接続もブツ切れて手持ち無沙汰になってしまう。

しかし、鉄道に限らず公共交通機関には、「自分で運転しなくてよい=移動中に作業ができる」という、自家用車には無い大きなメリットがあるのだ。

移動の時間を有効に利用できる環境とコンテンツを有償で提供できるのなら、まさしく会社と乗客がWin-Winの関係になれると思うのだが。

 

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