桃太郎をご存じだろうか。
魁!男塾の主人公のことではない。
JR貨物EF210形電気機関車のことでもない。
昔話の桃太郎だ。
知らない人のために説明すると、要するに桃太郎を称する武闘派の若者が犬、猿、雉を家来として引き連れて鬼ヶ島に乗り込み、金銀財宝を巻き上げて帰還するという話だ。
そして桃太郎は、桃から生まれたという出生の秘密を持つが、物語中で特に誰かがそのことに疑問を持った様子はない。
よく考えると、桃太郎の物語にはいろいろ疑問を持たざるを得ない。
たとえば、そもそも桃から生まれたとはどういうことなのだろうか。
よっくすの知る限りでは、おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に赴いたところ、川に桃が流れてきたということになっている。
そして桃から桃太郎が生まれるのだが、誰がお乳をやったのだろうか。
ひとつひとつ考えてみよう。
まず、おじいさん、おばあさんの年齢だ。
読者の皆さんは、単純に60歳とか70歳とかの老夫婦を想像してはいないだろうか。
鬼の征伐に向かうに当たって桃太郎はおじいさん、おばあさんに決意を告げる。
この時点で、生まれてから少なくとも15~20年は経っているはずだ。
桃の漂流の時点で60歳だとすると、20年後には80歳。
その時点で夫婦ともに健在ということは、ありえなくはないだろうが、物語の設定としてはやや無理があるような気がする。
聞くところでは、昔の日本では、女性は30代半ばで老人に分類されていたとか。
たとえば17歳で出産して、その子が17歳で子を為せば34歳で祖母になるわけだから、決して無理のある設定ではない。
仮に桃太郎のおばあさんが35歳だとすると、20年後には55歳だ。これならばなんとか理解可能だ。
しかし出産しなければ乳が出ない。これは大問題だ。
他人に育ててもらったのかもしれない。
アニメの影響などで老夫婦が人里離れて暮らしていたと思っている人もいるかと思うが、通常は人は集落をなして暮らすのが常なので、老夫婦の家も村の中にあったと考えるのが自然だ。
もし人里離れて暮らしていたら、それは姥捨て山に他ならないが、そこまで残酷な話ではなかろう。
だとすると、村の中に乳が出る女性がいて、託して育ててもらった可能性もある。
だが、おばあさんに乳が出た可能性はあると思う。
そもそも桃から子が生まれるとはどういうことか。大きな桃とは何か。
これは超自然の怪奇とよぶべき現象だ。
何年か以前に、あるグラビアアイドルが自分の魅力が「ビッグピーチ」であると説明していたが、それと関係があるのかもしれない。
また、桃を持ち帰ったのがおばあさんであって、おじいさんではなかったことがヒントになるのかもしれない。
竹から生まれたかぐや姫をおじいさんが持ち帰ったのとは好対照だ。
最後に。
桃太郎は家来として犬、猿、雉を引き連れて敵を征服し、金銀財宝を持ち帰ったわけだが、
前田犬千代や、猿と称された羽柴秀吉を引き連れて似たような事績を残した織田信長は、桃太郎の物語を知っていたのだろうか。
気になるところである。