高速交通網の整備や自動運転の研究の進展など、社会情勢の進歩によって公共交通のあり方も刻々変化している。
交通機関の利用は都市間交通と市内交通に二分できるが、そのうち都市間交通は高速度化、市内交通はオンタイム化が進んでいる。
そういう技術が求められているのだ。
結局、都市の路線バスはバス網が高密度に張り巡らされ、高頻度で走っているところだけが残っている。
地方でもあちらこちらの施設に立ち寄りながらバスが走っていく姿をよく見るが、その結果として所要時間が大きく伸びて利用しにくくなっている面もある。
ただでさえ、自家用車が法定速度を全く守らないためにバスは速度面で厳しい競争を強いられているのだ。
しかしちょっとした規模の駅なら駅前に駐車場を確保するのは容易ではないし、自分で自家用車を運転できない未成年、年寄り、外国人にとって公共交通は必須のものだから、公共交通の衰退を座視もできない。
鹿児島を例に考えてみよう。
鹿児島市の鉄道(実線はJR、点線は市電)
鹿児島の鉄道網の大きな問題点は、新幹線と港湾との連絡が悪いところである。
種子島や屋久島といった島嶼だけでなく、人口10万人を擁する鹿屋市を中心とする大隅南部でも、鹿児島への往来にはフェリーが利用される。
このため、鴨池港では40分に1本、桜島フェリーターミナルでは15~20分に1本という高頻度でフェリーが就航している。
しかし港から鹿児島中央駅へはバス便しかなく、渋滞を縫って走るために所要時間は読めないし、そもそも時間がかかる。
そこで旅客船が発着する各港から、県下随一の繁華街である天文館や新幹線が発着する鹿児島中央駅を結ぶ公共交通機関を考えるとする。
この手の交通機関は以前からあれこれ検討されており、予定路線図についてはもっと洗練されたものがあると思う。
これについて、だいたい1家族ぐらいが乗車できる単位で車両を走らせることはできないだろうか。
観覧車のゴンドラぐらいのやつだ。
無人運転が必須であることはこれまで度々述べたが、それであれば運転手の数と無関係に車両を増やすことができるのではないか。
たとえば、アプリで乗車駅と下車駅を入力すると待ち時間が表示され、クレジットカードで決済すると、一定の時間後に車両がやってくる。
そして下車駅で降りればいいのだ。
こうすれば、種子島・屋久島や奄美便など、便数の少ない港にも対応できるのではないか。
感染症対策が叫ばれる中、防疫対策としてももってこいだ。
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問題は、どのぐらいの頻度で走らせることができるか、だ。
すべての路線が集中する天文館~鹿児島中央駅などは、かなりの頻度で走らせないとパンクする。
たとえば、通常の20m電車に1両80人が乗るとして、4両編成の列車が10分に1本走るとすると、1時間あたり1920人を輸送できる。
一方で、新方式で1両に1人が乗車するとして、同等の輸送力を確保するためにはだいたい2秒に1本が走ることが必要になる。
これはかなりの量だ。
まず駅において2秒で下車するのは難しいだろう。
とくにお年寄りには厳しい。
だから駅の構造には工夫が必要だ。
また、多数の回送列車が走ることを考えると、実際に1秒に1本ぐらい走らないと上記の輸送力は確保できない。
とはいえ、こうしたシステムによって、現状の公共交通機関の問題点をある程度解決することはできるのではないか。