「108. 8つの浦和駅」において浦和の駅名について検討したが、駅名についてはより大きな問題がある。

それは、駅名が長いということだ。

たしかに駅名は鉄道会社の財産ではあるから、自由に決めてもいい。

しかし字数が増えるということは、読む上でも、書く上でも、あるいは記憶する上でもコストの増大である。

駅名に名前が入れば宣伝効果は抜群であろうが、それは利用者にコスト負担を強いたうえでのことである。

どうしてもというなら、その駅発着の運賃を半額に下げて、宣伝を期待する人なり団体なりが減収分を負担するぐらいのことはやってもらいたい。

地名については、既に延喜式に二字嘉名と定められており、日本語においてはこれが標準ではなかろうか。

いくつか例を見てみよう。




新大阪

もっとも判りやすいのは新大阪だ。

新大阪を「大阪駅」とすれば、新幹線の行先は「大阪」と表示されて判りやすい。

従来の大阪駅は、「梅田駅」としてしまえば、違和感なく納まる。

新幹線駅が「大阪駅」では在来線が困るようにも思うが、在来線の駅を「大阪新幹線駅」としてしまえば、わかりやすいだろう。

新横浜

大阪とまったく同様に、新横浜を「横浜駅」、接続する在来線駅を「横浜新幹線駅」、従来の横浜駅を「高島駅」もしくは「平沼駅」などとすればいい。

もともと横浜市の中心は関内であって、今の横浜駅周辺ではないんだし。

新函館北斗

まず「新」はいらない。「函館北斗駅」は無いのだから。

しかもこの駅は終着駅であって、各駅・各列車の行先表示に示される。

極力2字に抑えたほうが良い。

次に、この駅の利用者の大半は目的地が函館である。

函館市の人口は26万人で、道南の行政・経済の中枢機能を担っている。

対する北斗市の人口は5万人、函館の衛星都市である。

確かに駅の所在地は北斗市であるが、利用者にその情報は不要である。

もし「東京ディズニーランド」が「浦安ディズニーランド」だったらどうかを考えてほしい。

北斗市は、どう命名すればこの駅の利用者が最大化するかを考え、その上で利用者を北斗市に誘導するにはどういう投資をするかを考えたほうが良い。

駅名に「北斗」を入れようというのは、パイを増大させようというよりは、パイを食い合おうとする姿勢に見えてしまうのだ。

この駅は「函館駅」が良い。

現在の函館駅は「函館港駅」と改称すればいいのではないか。

どうしても「北斗」の名を入れたいのであれば、北斗市は補償金として、あるいは命名権料として、JR北海道に相応の金額を支払うべきであろう。

北斗市は市域に新幹線駅ができた上に、知名度抜群の函館の名を駅に冠することができるのだ。

良い話ではないだろうか。

それに、新幹線駅は新たな街づくりのチャンスでもある。

従前の市街地と違って土地も広く、既得権も少なく、思い切って理想的な街づくりができる。

道路も施設も、低いコストで思いのままだ。

その上で、新幹線駅という施設によって一定の人間の出入りが保証されているようなものなのだから、これを利用しない手はないと思う。

まずは市役所を新幹線駅前に持ってきてはどうか。

 

水沢江刺

よっくすが見て最も悩ましいのはこの駅だ。

水沢市、江刺市の両方の顔を立てて命名された駅である。

水沢と江刺は異なる郡(胆沢郡と江刺郡)に属していて、両者をまとめられるような郡の名前は無い。

歴史をみても、水沢は胆沢郡の中心地であって、江戸時代には水沢伊達家(藩祖伊達政宗の叔父の家系)が治めていた。一方で岩谷堂(江刺郡の中心地)にはやはり伊達政宗の伯父の家系である岩谷堂伊達家が鎮していた。

たしかに東北本線は岩谷堂を通過しない一方で水沢に駅を設けたが、町の「格」からいえば甲乙付けがたいのである。

立地の点でも旧水沢市、旧江刺市の境界付近に駅が設けられている。

いまや両市は合併して奥州市となったが、まさか「奥州駅」とするわけにもいかないだろう。

広い東北地方のどこだか判らなくなってしまう。

ただし「江刺」とは付けにくい。

北海道の「江差」「枝幸」と紛らわしいからである。

しかしここは、境界付近とはいえ旧胆沢郡に属し、水沢市街に近いことをもって「胆沢駅」でどうか。

まとめるとこうなる。

さて、こんなふうに工夫を凝らして駅名を短縮すると、どんなイメージになるのかを見てみよう。

おそらくこの件は全国で多くの鉄道ファンが知恵を絞っており、個々の駅名については実際にはもっと良い案があると思われる。

アルファベットだとこんな感じになる

 

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