西鉄のエース稲尾。巨人のエース江川。
どちらかといえば印象で語られることが多い「エース」の称号だが、何か客観的に定義する指標はないだろうか。
投球回数を目安にエースを探る。
続いて2010年代。
思えば松坂は昭和の香りを残した最後のエースだった。
松坂の栄光と挫折は、新しい時代に進む必要性を多くの人に認識させたのではないだろうか。
エースが長い年月に亘って活躍している。
この時代のエースは、1970年代以前と比較すると、投球回数が非常に少ない。
そして、表には表れないが、救援を含めて使われる投手の数が著しく多くなり、投球回数がより平均化されている。
エースはかつてのように突出した存在ではなくなり、多くの投手の中で一頭地抜け出した存在、という趣だ。
投手の登板間隔は一定となり、1試合あたりの降板の目安も投球回数より投球数で測られるようになって投球回数が減った。
こうして安定した環境が整備されて、投手は最高のパフォーマンスを発揮できるようになった。
平均的なレベルが向上し、試合に使える投手の数が増えたことによって、このような起用が可能になったと思われる。
横浜の三浦はこうした時代の変化に適応した素晴らしい投手だ。
三浦の投球回数3276回は歴代18位。古代の大投手たちに肩を並べる数字だ。
勝ち星こそ伸びなかったが、運に左右される勝ち星と異なり、投球回数は実力で打者を打ち取った回数であり、打者の安打数に相当する。
今の時代にあってこれだけの数字を残した三浦は、山本昌や工藤公康に匹敵する大投手だといえるだろう。
パリーグでも同じことが言える。
3球団で顔を出す涌井は見事である。
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